7
雑記
最新7回分
[バックナンバー] [目次] [トップ]
2008年9月7日(日) 今井功・最高裁判事が語る日本の司法
朝鮮日報に今井功・最高裁判事が語る日本の司法という記事が掲載されている。「世界憲法裁判所長会議に参加した日米代表にインタビュー」という企画らしい。その中に,「日本の「ロースクール」(法科大学院)は失敗した、という世間の評価については、同意しなかった。今井裁判官は、「司法試験受験生出身でもロースクール出身でも実績に大きな違いがない、という話を“非公式的に”聞いている。」という部分があった。外国で自分の国の悪いことを宣伝する必要もないが,韓国は法科大学院制度導入の際に,かなり日本の混乱を研究してたようであるから,(何も知らないと思って)適当にいい加減なことを言っているわけではないだろう。最高裁当局は法科大学院制度は失敗であるという統一見解を持っているような報道がなされているが,それは一面的な報道のようである。もっとも,それに続けて「多様な経験や専攻を持つ人材が法曹人となることが望ましい。判決文を書く技術が重要なのではなく、裁判で深みのある討論をすることと、良心に従った判断を下すことが重要だ」と述べているから,判決文を書く技術は法科大学院修了者は若干劣っていることは認めているのかもしれない。いずれにせよ,最高裁判事のなかにも,従来の修習教育にとらわれず,このように色々な面から評価できる人物がいるというのは頼もしいことである。もっとも,法科大学院の側も好意的な評価に安住せず日々努力しなければならないのは当然である。
2008年9月6日(土) 最高裁が「欠陥住宅」業者に厳しい判決出す理由
2日前付けの記事であるが,最高裁が「欠陥住宅」業者に厳しい判決出す理由は,「これまでこうした欠陥住宅を巡る係争では、買い主が泣き寝入りを強いられるのが半ば常識だった。しかし、その常識を覆し、不動産業界や法曹界に衝撃を与える判決が昨年7月、最高裁から下された。」という,昨年の最高裁判決の背景を報じるものである。原告弁護士側の言い分に沿って書かれた記事ではあるが,民事事件の背景を詳しく報じる記事はあまり多くないので貴重である。最後の「こうした司法判断が、規制緩和の進展とともに利害の衝突を訴訟で解決しようという社会変化に呼応したものならば、消費者の利益を重視した判決は今後も続く可能性が高い。」との指摘はその通りではないかと思われる。
2008年9月6日(土) 青山学院大学が「学費全額無料」!? 乱立する法科大学院の苦しい内情
昨日付けの記事であるが,青山学院大学が「学費全額無料」!? 乱立する法科大学院の苦しい内情という記事は,「この夏、法科大学院関係者をあっと驚かせる珍事が起こった。『2年短縮(法学既修者)コースの入学者には全員“学費等”の全額に相当する奨学金が給付されます。』青山学院大学が、こんな募集要項を出したのだ。」というもの。これは「学費を実質的にタダにすることで、新司法試験に合格する可能性が高い法学部出身の成績優秀者を集める試みであろう。」と評されている。成蹊法科大学院も奨学金は充実していることは受験生に比較的知られているのであるが,ここで報道された青山学院程は充実はしていない。法科大学院は,今後は,教育の充実はそっちのけで,学費の(実質的)値引き競争に突入するのであろうか。
2008年9月6日(土) NHK、受信章やめます 「美しくない」意見寄せられ
NHK、受信章やめます 「美しくない」意見寄せられというニュースは「NHKは10月1日から、受信料の契約の有無を判別するため各世帯の玄関先に張ることを求めていた「放送受信章」を廃止する。」というもの。私のように賃貸住宅に住んでいると,前の住人のシールが残っていたりして,なにがなんだかわからないままシールだけが増えていく。これはたしかに「美観を損ねる」ことであろう。この改正を歓迎したい。
2008年9月6日(土) 成蹊法科大学院法学未修者入試小論文試験
今日は,未修者入試小論文試験である。期末試験の採点が終わったと思ったら,法科大学院教員は入試作業モードに突入。夏休みにじっくり研究する時間がないのは痛い(「法科大学院出でて研究滅ぶ」という言葉が実感される今日この頃)。
本年度の出願者は約30%減ということである。減り方は,一般未修が159→143,社会人未修が150→91ということで,社会人受験者数が大幅に減っている。法科大学院についてこれだけマスコミの法科大学院マイナス情報が社会人に対して大きい影響を与えたということであろうか。いずれにせよ(まだ面接がありますが)今日受験した人々のご健闘をお祈りします。
2008年9月5日(金) 法科大学院、定員削減・統合で質向上を 中教審特別委が提言案
法科大学院、定員削減・統合で質向上を 中教審特別委が提言という記事は,「法科大学院のあり方について審議している中央教育審議会の法科大学院特別委員会は5日開いた会合で、教育の質を確保するため、入学定員を見直したり、法科大学院同士の統合を進めたりすることが必要とする提言案をまとめた。」というもの。
記事中で紹介された提言のうち,「既存の法学部などと兼務する教員を法科大学院の専任教員数に加える「ダブルカウント」の早期解消も求めた。」という点は,成蹊のようにまじめに「ダブルカウント」を一人も使っていないところと,そうでないところと外から見て区別できないのが実情なので,(正直者が馬鹿を見るという面もあった)徹底して欲しいところである。
しかし,「社会人入学志願者の飛躍的増加は期待できない」から「定員を適正規模に抑えることが重要」という認識はどうであろうか。立派な社会人はかなり高給を得ているわけで,それをなげうって法科大学院に入って,司法試験に合格しても,現在の就職難では,現在の高給を得る保証はないわけである。むしろ,(多少手前味噌になるが)仕事を続けながら成蹊のような社会人夜間コースを出て,司法試験に合格した後に,そのときに就職状況などを考えて(現在司法試験合格前にすでに就職活動が開始されている),仕事をやめるかどうか決めるというのが,社会人にとっての本筋となるのではないだろうか。したがって,成蹊のような夜間コースを増やせという提言ならわかるが,「「社会人入学志願者」の増加と「法科大学院全体の適正規模」とは,あまり関連性はないのではないだろうか。
そもそも,司法試験合格者を増やすという方策が(法科大学院設立前)からとられていたのは,司法試験の合格率が低くなりすぎると,(不合格リスクを避けて)有為な若者が司法試験離れをしてしまうのを防ぐためであったはずである。いままでの改革の流れの延長線上にあるのであるならば,この種の提言は,若者の司法試験離れを防ぐという観点からなされるべきではないか。現に,夜間コースの社会人の優秀者の中には,法学部出身でありながら,なぜ今まで司法試験を受けたことがなかったのか不思議に思える人が混じっている。こういう人を若いうちから司法試験の世界に誘い込もうというのが,法科大学院の構想であったはずである。
2008年9月5日(金) 法科大学院、「適性試験」に最低ライン 中教審部会が案
法科大学院、「適性試験」に最低ライン 中教審部会が案という記事は,「法科大学院の「質」向上について話し合っている中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の作業部会は、大学院入学の際、志願者に受験を義務づけている適性試験の点数に、合格に必要な「最低ライン」を設けるべきだとする案をまとめた。」というもの。これもトンデモな案である。我々にとっては,「適性試験の成績と大学院入学後の成績について、相関性は必ずしも高くないとする調査結果」の方が,教育をしている実感になじむ考え方で,アメリカのように,大学の成績などと適性試験の結果のみで入学選考ができるようになるためには,これから何年もかけて改善していかないといけないものであると思っていた。入試で重視されないのはそれなりの理由があるのに,それを無視して法科大学院にその結果を押しつけようとしているのはどんなものであろうか。
[バックナンバー] [目次] [トップ]
Eメール宛先